見直してみませんか?あなたの歯生活
あなたの生活習慣が歯周病を引き起こす!?気になったらまずは検査を!
早めの唾液検査をおすすめします
生活習慣病の一つと考えられている歯周病。歯周病が進行してしまうと抜歯が必要となり、治療をしても、歯周病になる前の状態に完全に戻すことはできません。そのため、できるだけ早いうちに処置を施し、進行を遅らせて歯を長持ちさせることが大切です。
歯周病は生活習慣病です
歯周病は、口腔内に生息する歯周病菌によって引き起こされる、歯茎の炎症です。
厚生労働省の調査では、50歳代の人の約半数がやや進行した歯周病にかかっていることがわかっています。歯周病が進行すると、歯茎や歯を支える骨が溶けてしまい、最終的には歯を失ってしまいます。
また、最近の研究で歯周病が全身の疾患に関わっていることも明らかになりました。歯茎で増殖した歯周病菌や炎症性物質が血液を介して全身に広がると、血管系疾患や糖尿病、骨粗鬆症などを悪化させたり、早産を引き起こしたりすることもわかっています。
以下の疾患がある場合には、歯周病のリスクが高まります。
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過度な喫煙や高コレステロールの食事が
血管系疾患
原因の… -
糖質の多い食事や運動不足などによって
糖尿病
引き起こされる… -
カルシウム不足や加齢による骨密度の低下が
骨粗鬆症
原因となる…
血管系疾患と歯周病
歯周病は、歯周病菌による歯茎の炎症ですが、増殖した歯周病菌や炎症性物質は血液に入り込みます。
血液に入り込んだ歯周病菌や炎症性物質は、血管の内側に炎症を引き起こす一因であるといわれています。血管内皮細胞が炎症を起こすと、動脈硬化を誘導する物質を出して、コレステロールを血管壁に取り込みます。取り込まれたコレステロールはプラーク(粥腫)という沈着物になり、血管を狭くして、血液を通りにくくしてしまいます。心臓の筋肉に酸素や栄養を供給する血管である冠動脈でこの状態が起こると、狭心症を発症します。さらにプラークが大きくなり、血管壁から剥がれて血管が詰まると、心臓では心筋梗塞、脳では脳梗塞を発症し、生命を脅かすことになります。
血圧、コレステロール、中性脂肪が高めの人は、動脈疾患予防のためにも、歯周病予防・治療は大切になってきます。

糖尿病と歯周病
歯周病が糖尿病に悪影響を与えていることが、最近の研究でわかってきています。もともと糖尿病患者に歯周病が多いことは、疫学調査でわかっていました。これについては、糖尿病のある方では歯周病が起こりやすいことから、歯周病は糖尿病の合併症と考えられていましたが、実はその逆もあることがわかってきました。
歯茎から血液に入り込んだ歯周病菌のほとんどは白血球などにより死滅してしまいますが、歯周病菌は細胞内にLPSという内毒素を持っており、歯周病菌が死滅してもLPSは血液で全身に運ばれてしまいます。全身に運ばれたLPSはTNF-αという物質の産生を促進させます。TNF-αは全身で血糖値を下げる働きをするインスリンの作用を阻害して血糖値を上げてしまい、糖尿病を悪化させることがわかってきました。

骨粗鬆症と歯周病
骨粗鬆症は骨がもろくなってしまう病気ですが、歯を支える歯槽骨にも影響をしていることがわかってきました。最近の調査では、カルシウムの摂取量が少ないと歯周病になりやすいという報告がされています。カルシウムの摂取不足が直接歯周病を引き起こすことはありませんが、間接的に歯周病を悪化させることが、数々の調査や研究で明らかになっています。
現在、日本には約1,600万人の骨粗鬆症の患者さんがいると推定されていますが、高齢化によって、今後さらに増えるといわれています。骨粗鬆症患者のおよそ7割は女性で、女性ホルモンであるエストロゲンの急激な減少が起こる閉経期(50歳以降)から、患者数が増加します。

歯周病予防のための歯磨きとは?
歯周病は歯周病菌によって起こるため、口腔内の歯周病菌を増加させないことが予防につながります。とくに高齢者では唾液の分泌量が低下し、口腔内は歯周病菌が増殖しやすい環境になります。また、喫煙も唾液の分泌に悪影響を与えます。歯周病予防で大切なことは丁寧な歯磨きを生活習慣の中で取り入れて、口腔内を清潔にすることです。

厚生労働省と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上の自分の歯を保とう」という運動です。8020運動の実現に向けて、歯周病の重症化を防ぎ、8020達成者を増やして、健康長寿社会を目指しましょう。そのためにも1年に1回、歯周病検査を受けることが大切です。
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磨き方
歯の磨き方の基本は、一歯ずつ丁寧に磨くことですが、自分に適した磨き方もあります。歯科医師・歯科衛生士に指導してもらい、自分の磨き方を修得しましょう。ここでは、歯周病予防、治療に有効なスクラッピング法とバス法を紹介します。
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スクラッピング法
歯の外側(ほっぺた側)は歯ブラシの毛先を歯に直角にあて、軽い力で小刻みに動かします。歯の内側(舌側)は45°にあてて同じように動かします。歯茎が健康な人向きです。
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バス法
歯の外側も内側も、歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に向けて45°の角度にあて、軽い力で小刻みに動かします。歯茎に炎症がある人向きです。
そのほかにもさまざまな磨き方がありますが、歯ブラシの毛先を上手に使って歯垢(プラーク)を確実に取り除くことが大切です。
磨き残しはありませんか?
- □ 奥歯の嚙み合わせ
- □ 歯と歯の間
- □ 歯と歯茎の間
- □ 歯並びがでこぼこしている所
- □ 前歯の裏側
などは、磨き残しが多い場所なので、丁寧に歯を磨きましょう。電動歯ブラシの活用もよいかもしれません。
また、カラーチェッカー(歯垢染色液)を使って、自分の歯磨きの弱点を知ることもおすすめです。

気になったら、まずは検査を!
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歯医者で行う歯周病検査
歯周病の検査は、一般的には「プローブ」という金属器具を用いて、歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)の深さを調べます。器具を用いるため、多少の苦痛を伴います。溝が深くなるほど、歯周病が進行しているということになります。
CPIプローブという道具を使い、歯と歯茎の間に入れ、CPI指数(歯周疾患指数)を調べます -
唾液で歯周病検査
最近では、唾液を検査して歯周病を発見することも可能となっています。歯周病は歯茎の炎症ですが、唾液中に含まれるLD(乳酸脱水素酵素)を測定することにより、歯肉の炎症の程度を見ることができます。また、歯茎に炎症があると出血が起こりますが、唾液に含まれるHb(ヘモグロビン)を測定することで、出血の程度も数値化ができます。
これらの検査は歯医者に行かなくても健診とあわせて受けられる痛みのない手軽なスクリーニング検査です。歯科受診の前に唾液検査で現在のリスクを確認し、必要に応じて歯医者での精密検査・治療につなげましょう。-
唾液採取セットを受け取ります。
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唾液採取用のガムを約5分間噛み、コップに唾液をためます。
※2時間前から飲食、歯磨きをしないことが望ましい。
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STEP2で採取した唾液をスポイトで透明容器に1滴入れ、残りの唾液を黄色容器の半分くらいまで入れます。
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※液体(保護液)に触れないこと
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ラベルと提出用袋に氏名などを記入し、ラベルを2本の容器に貼って提出します。
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