遺伝子・染色体検査

X染色体STS (Xp22.3欠失解析)

ステロイドサルファターゼ活性の欠損に起因する新生児代謝異常であるX連鎖性魚鱗癬のSTS遺伝子の欠失をFISH法により検出します。

[検査の適応]

X連鎖性魚鱗癬

[検査法]

FISH法

検査材料 必要量 保存条件 所要日数
ヘパリン加血液 3ml 冷室温 8〜10日

■臨床的意義

X連鎖性魚鱗癬(X-linked ichthyosis;XLI)は、各種組織に遍在するミクロゾーム酵素の一つであるステロイドサルファターゼ(steroid sulfatase; STS)活性の欠損に起因する新生児代謝異常です。その発症はX染色体性の劣性遺伝形式をとり、およそ1:2,000〜6,000出生男児の頻度で認められます。

STSは3β-硫酸化ステロイドを脱硫酸させ当該ステロイドの核内受容体への結合を可能にする、ホルモン環境の調節因子として働きますが、本酵素活性が欠損すると皮膚角質層へのステロイド蓄積をきたして魚鱗癬を呈します。従来XLIの診断はSTS活性の測定により行われてきましたが、手技が煩雑であることに加え、性差(女性では男性の約1.5倍の活性を示す)の存在から保因者の判定にあっては健常女性検体をコントロールに用いなければならず、かつ酵素活性低下の判定が必ずしも容易でないという課題がありました。

X染色体短腕遠位(Xp22.3)に座位するSTS 遺伝子に認められる異常の約90%は、遺伝子内の広範囲にわたる欠失であることが明らかになっており、FISH法の応用が可能です。STS 遺伝子の全領域をカバーするプローブを用いることにより、XLI患者の確定診断、ならびに女性保因者( STS 遺伝子ヘテロ欠失)の判定・遺伝カウンセリングに有用な手段になると期待されます。

[注]
*1:本検査は先天異常の発症因子に関わるものであるため、事前に被検者あるいはそのご家族に十分なご説明をいただき、文書による承諾が得られた場合のみ受託させていただきます。被検者名については、プライバシー保護のため匿名化されるようお願い致します。
*2:点突然変異やprobe領域内の微細な欠失によるSTS 遺伝子異常の判定はできません。

[解析例]

写真:46,XX正常核型のSTS 検出例

写真に46,XX正常核型のSTS 検出例を示します。両方のX染色体の短腕末端に赤色のSTS probeシグナルが認められます。X染色体動原体部の緑色シグナルは、コントロールのDXZ1 probeによるシグナルです。

■参考文献

Schnur, R. E. et al. : Am. J. Hum. Genet. 45 : 706, 1989.
Valdes-Flores, M. et al. : Am. J. Med. Genet. 102 : 146, 2001.
田中あけみ, 他: 日本遺伝カウンセリング学会誌 24 : 26, 2003.



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