遺伝子・染色体検査

好中球 BCR-ABL1[(t 9;22)転座解析]

末梢血を用いて、慢性期CML(慢性骨髄性白血病) における骨髄に近い動態把握と、CML 急性転化の予知ができます。

[検査の適応]

慢性骨髄性白血病(CML)の動態把握

[検査法]

FISH法


検査材料 必要量 保存条件 所要日数
ヘパリン加血液 3ml 冷室温
(4〜20℃)
5〜7日

■臨床的意義

本検査は、観察対象細胞を(好中球を主体とする)分葉球細胞と(リンパ球を主体とする)単核球細胞に大別してFISH 法によるフィラデルフィア染色体(Ph)解析を行い、末梢血検体においてより的確な慢性骨髄性白血病(CML)の治療経過観察を実現するものです。

すなわち、

  1. 分葉球細胞分画を対象としたPh[t(9 ; 22)転座]陽性細胞の検索により慢性期CML における骨髄の動態をより的確に把握できます。
  2. 単核球細胞分画を併せて検索することにより、CML 急性転化の予知ができます。

CML は最も未分化な造血幹細胞起源の造血器腫瘍として知られ、その骨髄は好中球系細胞を主体とする白血病細胞が充満した過形成状態を呈します。白血病細胞では9 番・22 番染色体の相互転座[t(9 ; 22)]に由来するフィラデルフィア染色体(Ph)が特徴的に認められることから、化学療法に対する反応性の評価には骨髄G 分染法またはFISH 法によるPh 陽性細胞比率の確認が最も重要ですが、骨髄穿刺の患者に与える身体的負担は大きく、頻回の実施が困難でした。

一般に慢性期CML の場合、未治療時ではPh 陽性細胞比率に骨髄-末梢血間の差を認めませんが、治療開始後ではしばしば両者間の検査結果が乖離し、後者で相対的に低値を示す傾向を生じます。こうした現象は、骨髄では概ねすべての血球系にPh を認めるのに対して、末梢血中の成熟細胞では細胞系列によってPh 陽性を示す割合が異なることに起因すると考えられています。すなわち、末梢血リンパ球のPh 陽性率は総じて低く、全白血球に占めるリンパ球の割合が多いほど骨髄FISH 法の結果との乖離は大きくなります。他方、末梢血好中球と骨髄の陽性値は良好な相関を示し、好中球を含む分葉球細胞のみを対象とした末梢血染色体分析の結果が骨髄の動態をよりよく反映すると云えましょう。

なお、CML の終末像ともいうべき急性転化(blastic crisis)においては、細胞学的に約30 %がリンパ性の形質を示すことから、分葉球細胞のみの検索によってはリンパ性急性転化への移行を予知できない可能性があります。したがって、分葉球・単核球両細胞系列の動態を併せて評価していくことがCML の病像の推移を把握する上に重要と考えられます。

[解析例]

写真:正常細胞

正常細胞では赤色のASS-abl probeシグナル2個と緑色のbcr probeシグナル2個が別個に検出されますが、9 ; 22転座陽性細胞では、赤色1個、緑色1個と、転座に伴い生じた黄色のbcr-ablシグナル1個および、分断されたabl由来の小さな赤色シグナル(ASSシグナル)1個が検出されます。
(写真:正常細胞)

■参考文献

高橋直人:検査と技術28 : 1343, 2000.
高橋直人:検査と技術28 : 1343, 2000.



臨床検査 | 診断薬・機器 | 非臨床・治験 | 食の安全 | ドーピング | 健康診断サポート | 電子カルテ | 医療情報誌 | 会社概要 | 品質・環境 | 採用